一撃は孤高の重さワンパンチ:娯楽を超える真実と迫真の描写「ワンパンマン」

すごい。絵が上手い!村田雄介作画の「ワンパンマン」

主人公・サイタマは、全ての相手をワンパンチで倒してしまうほど強くなった男。
そしてその強さに虚しさを感じている。

それは、戦いの高揚感が得たいのではない。
人々の称賛が欲しいのではない。
極限すれば、ヒーローであることにもこだわりはないかもしれない。

だが、ヒーローを名乗るからには、人々を脅かす敵は倒す。
そして…強すぎる彼を人々は理解できない。

人間の理解を超えた強さ。

対比的に描かれたのが圧倒的な暴力に立ち向かうヒーロー・無免ライダー。
「期待されてないのはわかってるんだ… C級ヒーローが大して役に立たないなんてこと俺が一番よくわかってるんだ!俺じゃB級で通用しない 自分が弱いって事はちゃんとわかってるんだ!俺がお前に勝てないなんて事は俺が一番よくわかってるんだよぉッ……!!それでもやるしかないんだ 俺しかいないんだ 勝てる勝てないじゃなく ここで俺は お前に立ち向かわなくちゃいけないんだ!」

彼は、他人に計られる自分より、自分を許せぬ自分が一番怖いことを知っている。
どうしても折れてはいけないものを持っている。
だからヒーローなのだ。

弱くても。

最後に駆け付けたサイタマは、敵を一撃で倒す。
簡単すぎて、その強さがわからない者が敵に倒されたヒーローたちを誹る。
サイタマは、ヒーローの名誉のために、

自分は弱った敵を倒しただけ。遅刻しただけだ。

そういうことにする。
サイタマが強いことは、拳を交えた者、戦いの最中にいた者にしかわからない。

原作は、ギャグなのではないかと思う。
主人公が成長する話は凡百だ。
最初から最強の主人公ならどうだろう?

悪が、自分の強さをひけらかし、
どんな能書きをたれようとも、
サイタマはワンパンチで倒してしまう。

サイタマの見た目は、最強のヒーローっぽくない。
髪が無い。有り体にいうとつるっぱげである。
戦闘スーツはダサい。黄色に赤いマント。マント?いつの時代のヒーロー?
顔にも特徴はない。

実力よりなめられるヒーロー、それがサイタマ。
けれども。
ヒーローの矜持はある。無免ライダーと同じだ。

他人に計られる自分より、自分を許せぬ自分が一番怖いことを知っている。
どうしても折れてはいけないものを持っている。

だから、一般人の評価や人気を気にしているけれど究極的にはどうでもいいのだろう。

評価されないまま、ワンパンマンは進む。
敵はどんどん強大になる。
しかし、サイタマを超えることができない。

「ワンパンマン」は明らかにやなせたかし氏の「アンパンマン」のもじりだ。
アンパンマンも言っている。
愛と勇気だけが友だちさ、と。

「孤独なヒーロー」、それがワンパンマン。
彼は、敵を倒し続けながら、どこへ突き進んでいるのだろう。
目標を達成してしまった人生。

バトルマンガによくある「力のインフレ」がないのに
ぐいぐい読ませてくるのは、
敵の設定が次第に複雑になるからだと思う。

ヒーローとは何か。敵とは何か。悪とは何か。正義とは何か。

「強さ」とは何か。

そして、魅力の一面は村田雄介氏の画力。
このマンガは、元々ウェブ上に発表されていた作品を原作に、
村田氏が作画したもの。
すごい、としか言えない…

単行本はカバーが立体絵だったり、ウェブ連載は画面が固定されていることを利用したアニメーションのカメラワークを再現したりしている。
完成度高い。

一読すべきマンガだと思う。
勝利したときのサイタマの背中は少し哀しい。

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入り江わに について

オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
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