感想に子すら忖度よく覚え:誰のための読書

私は国語教員でしたが読書感想文はアンチです。
面白い本を読んだとき目を輝かせてこどもが親に友に語る、その輝きを奪うのが読書感想文です。

最近はネットに「読書感想文プリント」なるものがあります。
空欄を埋めていくと感想文が出来上がります。

コピペフリーの感想文集も存在します。

検索して、作品の解釈の「正しいもの」を見つけて書くと先生の評価が高いとかで、
点数を取るために感想文をでっち上げるのが主流でしょう。

なんだそれ。

私は、例えば50点満点800字を課題にするときは、基準を明記しました。
【文章力】
①720字以上書いているか。5点
②簡単な漢字をひらがなにしていないか。5点
③文章の構成が適切であるか。5点
④原稿用紙の使い方は正しいか。5点
⑤誤字脱字がないか。5点
【内容】
⑥自分の意見が書かれているか。主旨は問わない。5点
⑦独創的な表現を使っているか。5点
⑧本の内容を適切に伝えているか。5点
⑨文脈が乱れていないか。5点
⑩その他の評価すべき内容があるか。5点

満点はほぼ取れませんが、
「つまらなかった」だけだと①1点④1点⑥1点で3点です。
自分の名前だけだと②1点。

ここまで説明してやっと自由な感想を得られます。
それまでの教育で「読書感想文」は歪められていますから、
これくらい言わないと生徒は安心できません。

「たけくらべ」はなんで水仙なのかにこだわったり。
「舞姫」は言い訳ばかりのクズ男の物語だと言ったり。

最近、Twitterで見たのですが、

「走れメロス」で出てくる盗賊は、王が仕組んだものかどうかと授業で取り上げて、
ツイは
自分は、誰も信頼できない王が盗賊に依頼するわけがない、と、主張したのに、
他のクラスメイトが王の仕業と言ったので、
自分の意見は踏みつけにされた
という主旨だったと記憶しております。

私の採点なら高得点が狙える意見です!

また、これは本で読んだのですが、
(すいません書名忘れました。本の山の中にあるはずだけど見つからない)

著者は小学生の時日本に帰国した帰国子女。
日本語は習っていたので流暢だが、
小学生の使わない単語を使い、文体が丁寧語だったので、
クラスメイトに発言するたびクスクス笑われる。
「何が可笑しいのデスカ?」
というと、どっと笑われる。

つらい。

そんなとき、夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んだ。
猫は作品の最後の方で、
モチがのどにつかえて苦しむ。
すると人間は
「猫が踊っている。猫踊りだ。」
と、笑う。

滑稽小説だというが、泣けてしかたなかったと。

この猫は自分だ。
苦しいことを伝えようとしても、理解されなくて笑われる。

感想文にそう書いたら、低い評価しかもらえなかったそうでした。

なんじゃそりゃ!
私なら泣きながら高得点つけるわ!

読書感想文、屁です。
0点取るくらいなんだ。誇りに思っていい。

感想文が苦手な子でも、
例えばアニメなら、ストーリーのあるゲームなら、
己の感動を話すでしょう?

読書も「感動」が原点なのです。
本嫌いにならないで、世界の扉を閉ざさないでください。

シェア:

入り江わに について

オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
カテゴリー: エッセイ タグ: パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA