いにしえもいまもうつつは浅き夢:源氏物語を漫画で翻訳「あさきゆめみし」

日本の古典文学に燦然と輝く名作「源氏物語」。作者「紫式部」。本名はわかっていません。
この名作を多くの文学者が現代語訳してきました。
私は「田辺聖子訳」を読みました。「新源氏物語」です。私が高校生で宇治十帖は翻訳されていませんでした。確か今も宇治十帖はなかったかと…

尚「絵草子源氏物語」は別物です。作者が同じでも。

原文はところどころしか読んでおりません。
んでも、まぁ、すごいよなぁ。
何がって、主人公光源氏を取り巻く女性たちの情念が。

この大作を漫画にしようという試みはなにも大和和紀先生が最初ではありません。
他にもあるんですが、名作はやはり「あさきゆめみし」。

大和和紀先生は、「源氏物語」のコミカライズの前に、
「ラブ・パック」という少女マンガを描いておられます。
私、これでオタクに完全にハマったんですよ。
トレーシングペーパーで描き写したわ。

それ以前に、私の家は「マンガ禁止」でした!

「ラブ・パック」はピアノの先生の家の待合室で読みまして、
レッスン終わってからも食いついて離れないものですから、
母が規制緩和したんです。
「お小遣いの範囲でマンガを買っても良い」と。

当時、私がまだ小学生の頃ですが、街の古本屋には週遅れの週刊少女漫画誌、月遅れの月刊少女漫画誌が安く売られていまして、
お小遣いは限られているからね、遅れて読んでおりましたよ。

子どもをオタクにしたくない親御さん、
マンガ禁止にしない方がいいですよ。
飢えてますから、どっぷり深いオタクになります。

では、子どものころからふんだんにマンガを与えるとオタクにならないか、と、いえば、
二分の一の確率でオタクに育ちます。(当社比)

オタクになる子はオタクになるのです。

さてこの「ラブ・パック」は「源氏物語」を下敷きにしていますが、
全く異なるラブコメディです。
平安時代が舞台のラブコメは読者に受け入れられるのか?
まずそこから手探りの時代でした。

大和和紀先生が押しも押されぬ大家になってから「あさきゆめみし」は連載を開始したのですが、

なんて秀逸なタイトル!

いろはうた、というひらがなを一文字一回だけ使って詠まれた歌の一部ですが、
いろはうたには濁点がありませんから補って読むのが普通です。
その通りに読むと「あさきゆめみじ」なんですよ。
「浅い夢のような人生を送るまい」。

あえて「あさきゆめみし」。
すると「浅い夢のようだった」になるんです。

光源氏の人生は波乱万丈。
亡くなった時の描写はありません。原作でも。
それを全て「浅い夢」とする英断!

「あさきゆめみし」の冒頭は、マンガ作者オリジナルの解釈によるストーリーが入っているのですが、なにせ元が「源氏物語」です。
古典オタクがわらわらいる世界です。
研究者の大学教授研究室にまで置かれたと聞きます。
で、誤りは指摘されるのですよ。

冒頭以外ほとんどが原作準拠です。
少し「田辺聖子訳新源氏物語」のオリジナル設定は入っていますが。
なんかちょっとマンガで分かりやすいようにオリジナルを入れると
「そこに池はありません」
とか指摘が入るんですよー。古典ヲタ怖いよー。
それにもめげずに描き切った大和和紀先生は偉大だ!

「源氏物語」を原典で読むことができず、
現代語訳でも読み切ることができない層に
名作「源氏物語」を届けた偉業は後世までたたえられるべきかと思います。

未読の方、人生損してる。

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入り江わに について

オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
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