パピプペポ遠い文芸手繰り寄せ:柳友が出版しました「擬態するパピプペポ」西沢葉火

西沢葉火「擬態するパピプペポ」という川柳の句集が昨日発売されました。うちに届いたのは今日です!

西沢葉火はTwitterの「パピプペポ川柳」という企画から川柳人になった人です。
「パピプペポ川柳」とは、川柳の五七五に「パピプペポ」をくわえることによって、
句にナンセンスと想像の余地を与える新しい川柳です。
私も投句で賞をとったことがあります。

みんな言う トイレが暑い パピプペポ(入り江わに)

西沢葉火の原点が「パピプペポ川柳」なので、本書はそれから始まっています。引用します。

Ⅰパピプペポ
なめくじが 海にあこがれ パピプペポ
あの部屋に 置いて木彫りの パピプペポ
パピプペポ 卒業式が 割り切れず
擬態する 虹色の虫 パピプペポ

私は
「なめくじが 海にあこがれ パピプペポ」
が特に好きです。
塩をかけると溶ける(水分が体内から出てしぼんでしまう)なめくじが、塩分を含む水の「海」にあこがれる、その矛盾と哀愁。
パピプペポ川柳がおわかりいただけたでしょうか?

私は西沢葉火がどういう経緯で「文芸川柳」に達したのか知らないのですが、
句集の残りはⅡ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴに分かれています。
私の好きな句を抜粋します。

Ⅱぱぴ
占いが良くなるようにおまじない
まだそこは皮と言いたくないメロン
類想を承知で投ず反戦句
判定はアウトに近い政府です

ⅢPa-Pi
行儀よくLに座りなさい小文字
文学部人文学部ハチが飛ぶ
ワニの瞳は()の中を先に解く
!のシンプル

Ⅳ(正智)
海岸線だけが境の世界地図
海色に黄砂を混ぜて描く魚
あの人の船を任意の点として
口笛で教えてほしい夜想曲

Ⅴ葉火
山彦の返事を待って下りて行く
海抜に訂正のある無人駅
遠足に汚されている道祖神
第1子誕生を告ぐ大鴉

川柳に解説をつけるのは野暮なのですが、文芸川柳はわかりにくいかもしれないのでいくつか感想を書きます。

「まだそこは皮と言いたくないメロン」
メロンはどこまでが実でどこからが皮なのか?
人間も同じです。どこまでが左翼でどこまでが右翼?
昨今は、どこまでが男でどこからが女?などという命題も立てられるでしょう。
シンプルでいい句だと思います。

「ワニの瞳は()の中を先に解く」
これはワニの目の形が(|)に似ていることからでしょう。
そして瞳は()の答えであるという視点。

「あの人の船を任意の点として」
こちらも数学的な句なのですが、
問題文でよく読んだ「任意の点」。
「あの人」の乗っている船なのに任意の点とされる哀しさを感じます。

「第1子誕生を告ぐ大鴉」
大鴉はエドガー・アラン・ポーの詩からと推察します。
めでたいはずの第一子誕生に鳴く不吉な鳥。
誕生の残酷さ。

以上拙い解釈でしたが、
意味が深く表現が斬新な川柳句集です。
読んでみませんか?

※表題は私がこの書を読んで詠んだ句です。



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入り江わに について

オタクじゃ老害、川柳じゃ若手!オタクが互いをお宅と呼んでいた頃からのマンガアニメオタク。兼、川柳人。
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